日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年10月28日コミュ力を高めるために必要な話し方とは?

 


★話し方はコミュニケーションそのもの


「上司からいつも『君の話はよくわからない』と言われる」
「あがり症で人と話をすると緊張して上手く話せない」
「店員さんに聞きたいことがあるけど話しかける勇気が出ない」
「雑談で面白い話をしたいけど話すことが全然思い浮かばない」
こうしたことが度々ある方は「何とかコミュニケーション能力を高めたい」と思っていることでしょう。日本話し方センターのベーシックコースは、単なる話の仕方だけでなく、コミュニケーションの取り方全般を視野に入れたカリキュラムを提供しています。話はコミュニケーションそのものだと私たちは認識しているのです。今回はコミュニケーション能力の向上についてお話します。




★人の幸せを握るカギは「人間関係」


コミュニケーション能力とは「人と円滑に意思疎通が図れるスキル」のことです。このスキルが上達すれば、周りの人との人間関係は必ず良くなります。お互いの考えていることや感じていることをきちんと把握して適切に対応できれば、相手と良い関係になれることは容易に想像できます。そして、この人間関係こそ、人の幸せにとって最も重要なものなのです。
米国のハーバード大学が実に75年かけて「何が人を幸せにするのか?」という研究を行いました。多くの人の人生を膨大な時間をかけて追跡調査したのです。その結果、得られた結論は「人生において人間関係が最も重要な要素である」というものでした。
また、大ベストセラーとなった「嫌われる勇気」には「すべての悩みは対人関係に関する悩みである」という一節があります。確かに、私たちの日常を振り返ってみると、「あの人からひどいことを言われた」「お客様から難題を突きつけられている」「夫と家の購入に関して意見が合わない」など、悩ましい問題はすべて人間関係に起因しているようです。
このように人間関係は、人の幸福度と密接な相関関係があります。人間関係が良くなればなるほど、幸せだという気持ちも高まるのです。そして、この人間関係を良くするにはコミュニケーション能力を向上させることが絶対に必要なのです。



★コミュニケーション能力は誰でも身につけられる


ところで、前述したようにコミュニケーション能力はスキルです。つまり、才能ではないということです。100メートル走でオリンピックで優勝する、壮大な交響曲を完成させるなどは誰にでもできることではありません。これらは才能を必要とするからです。しかし、コミュニケーション能力はスキルですので、誰でも身につけることができます。確かに、幼い頃から人とコミュニケーションを取ることが上手な人もいますし、人と接するのが上手くない人もいます。得意・不得意の個人差はありますが、意識して努力すれば誰でもコミュニケーション能力は向上するのです。
日本話し方センターのベーシックコースの受講生には、「小さい頃から話すのがヘタで上手に話すことを諦めていたが、ベーシックコースで学んだら人と話すことが苦でなくなり自分から積極的に話すようになった」という人がいます。また、ベーシックコーススタート時の自己紹介では1分間、一言も話せなかった人が12回のコースを修了するときには、人前での3分間のスピーチを堂々と行った人もいます。こうした例が示すように、話し方もコミュニケーション能力もトレーニング次第でしっかりと身につけることができます。




★コミュニケーション能力向上に必要な2つのスキル


では、コミュニケーション能力を向上させるには、具体的にどのようなスキルを身につければよいのでしょうか。以下、「話しを聴くスキル」と「話すスキル」の2つに分けてお話します。



★相手の話を聴き切るスキル


円滑な意思疎通で大切なことは「話を噛み合わせる」ことです。そのためには、まず相手の話を聴くことがとても大切です。人は本来、自分の話をしたいと思っていますし、話をしないとコミュニケーションは取れないとも思っています。話が苦手な人でも「何か話さないと」と焦ることが多いですが、これなども話すことに重点を置いていることの一例です。話すことに意識が向いているので、自分の話したいことを相手構わず一方的に話す人がいることもある意味自然なことだと言えます。しかし、だからこそ、意識して相手の話を聴く姿勢を持つことが必要なのです。
例えば、お客様はその商品を買うことで自分の生活がどのように便利になるのか知りたいと思っているのに、販売員が商品の機能説明を丁寧に長々としてしまったら、お客様は決してその商品を買わないでしょう。また、仕事に行き詰まって悩んでいる部下の話を最後まで聴かずに途中から自分の経験談を延々と話し始める上司は、決して部下に信頼されないでしょう。


意思疎通を円滑に行うためには、相手の置かれている状況や考えていることなどに意識を向けて、相手が今何を欲しているのかしっかりと把握するまで話を聴き切ることが大切です。そのためには、自分の話から始めるのではなく、相手の話をまず聴きましょう。そして、相手の感情や考えが理解できるまでは質問をしながら話を進めましょう。それらが理解できてから話し始めることで、噛み合った話をすることができます。
「話し上手は聴き上手」という言葉があります。まず相手の話を聴くことで噛み合った話をすることができます。そういうスキルを身につけている人は相手の望む話をすることができるので「話し上手」と言われるのです。ぜひまず相手の話を聴き切ることを心がけてください。




★相手に伝わる話をするスキル


二つ目は「相手に伝わる話をするスキル」です。
このスキルには様々な要素がありますし人によって心がけるべきことも分かれます。ここでは、誰でも共通して心がけることとして3つお話します。



①一つのことに絞って話す

「昨日頼んだ資料、今日の夕方までにまとめてね。資料のまとめ方を念のため伝えておくと~。それからそれが済んだらA君の仕事を手伝ってくれないかな。彼の仕事の概要はね、~。ああ、ついでにB社の田中さんにメールしておいてもらえないかな。内容はね、~」
仕事のできる上司は次から次にタスクが頭に浮かんでくるので、部下に矢継ぎ早に仕事を指示することがあります。しかし、部下にしてみれば、一度に色々と言われてもすべて理解し、記憶できるとは限りません。この例のように、私たちの日常では、一度に幾つものことをごちゃごちゃに話すことがよくあります。相手が理解できる話をするためには、話は一つのことに絞って話しましょう。そして、その話を相手が理解できたことを確認して、次の話をするようにしましょう。



②長く話さない

先にも述べたように、人は話をせねばならない、話したい、と思っています。なので、話し始めると自分が話すことに集中してしまい、長々と話す人が実に大勢います。しかし、その長い話しを聴かされる立場になれば分かるように、長く話せば話すほどその話しは聴かれなくなりますし、理解もされなくなります。意思疎通は双方向行為です。その点からしても一方的に長く話すことは好ましくありません。できれば、一回の話は2分程度にして、相手が聴いているか様子を見るくらいの余裕が欲しいものです。聴いている様子がなければ相手に話をしてもらうように切り替えます。また、聴いているようであれば続いて次の話をするようにしましょう。



③一文を短く話す

「先ほどP社に行ってきたんですけど、いつもの担当の佐藤係長がいなくて、加藤課長も先日のこちらの提案を知らなくて、でも、加藤課長と話しているうちに先方から新たな話がありまして~」
一文を区切らずにダラダラと話されると、聴いている方はイライラしてきます。また、話を理解する時間が取れないので、言いたいことも伝わりません。
「先ほどP社に行ってきました。担当の佐藤係長がいなくて加藤課長と話してきました。先日のこちらの提案はご存じなかったのですが、話しているうちに新たなお話をいただきました」
このように一文を短く区切ると、歯切れの良い話し方で聴きやすいですし、相手が話の内容を理解することも容易になります。ぜひ一文を短く話すことも心がけてください。




★コミュニケーションは相手ありき


以上、話しを聴くスキルと話すスキルについてお話しましたが、双方に共通することは「コミュニケーションは相手ありき」ということです。
相手の話を自分に都合良く聴いたり、自分勝手に話をするのではなく、常に意識を相手に向けてコミュニケーション取ることが肝要です。


日本話し方センターのベーシックコースでは、今回お話したことや常に相手のことを意識してコミュニケーションを取ることを、体系的に講義でお伝えし、実習で身につけていただいています。その結果、単に話し方が上達するだけでなく、人間関係を良くすることに成功したという受講生も本当に大勢います。ぜひ受講者の声をご覧いただき、受講をご検討ください!

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